実家暮らしの手帖

食う寝る遊ぶに住むところの機微を綴るブログ

旅する魔性の女

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非日常の生まれるところ



今回の旅の主な目的は「プッチーニが描く女たち」と題されたオペラアリアのソプラノリサイタルを聴くこと。

サブテーマが「恋に生きる魔性の女を歌う」ということで、なんだか自分の日常に最も遠いところにありそうな異世界の、新鮮な感動を楽しみにやって来た。

街の中心地の一角に建つ洒落たホールに出現した異世界の中心で愛を叫ぶ週末の午後。マノン・レスコー、トスカ、トゥーランドットラ・ボエームのムゼッタと、次々にタイプの異なる女たちの情熱的な愛のアリアがみっちり詰まった濃厚な2時間があっという間に過ぎていく。

オペラならではのざっくりした心理描写で、愛だの裏切りだの駆け落ちだの死別だの、これでもかと激しく行き交う情念が明快かつ単純に異種のエネルギーとして私の中にぐいぐい入り込んでくる。

そんなアホなと心のどこかで思いつつ、異質のパワーに矢継ぎ早に押され続ける私の意識は、しばし米と魚と麹とたくわんで出来た自らの淡いアイデンティティを忘れ、獣肉とワインとチーズとオリーブオイルのたぎる熱いダンスを踊り出し、今なら一人で「天城越え」でもやりかねない狩猟のパワーを無理矢やりに創造していった。

かくして魔性の女をバーチャルな記憶にインプットするというエキサイティングな体験を通して、敢えて異質な要素を自分に摂りこむ特別な時間を作ることは、じゅうぶん楽しい旅の目的になることを確認した。

今回の短い旅の成果として、私の細胞は魔性の要素を吸収した新たな細胞に新陳代謝したのであった、めでたしめでたし。- FIN-

 

と、私の妄想ではここで「魔性のぐりのアリア」がエンディングロールで流れるはずなんだけど、うん。

いくらなんでもそれはないな。

ややこしい朝ごはん

一晩家を空けるので、昨夜は冷蔵庫の半端ものたちを寄せ集めて文字通り「寄せ鍋」で晩ごはん。食べ盛りのいない食卓に鍋いっぱいの半端ものは当然のように半端に余る。

仕方がないので今朝のごはんは半端もので作った寄せ集めの寄せ鍋の、半端に残った寄せ鍋の余りものを一所懸命片付けて、ようやく出発の運びとなりました。

こんなにややこしい朝ごはんは生まれて初めてです。

いくつになっても初体験に溢れてる。

さて、いつもと違う週末を楽しもう。

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看板に偽りのない寄せ鍋

 

旅に短し散歩に長し

こんばんは、ぐりです。

明日から旅行というにはあまりに手近な主要都市まで遠足以上旅行未満のおのぼり小旅行に出かけます。

旅に短し散歩に長し。とはいえ平素よりフットワークの重い人間にとって、泊まりがけの外出は遠足前日の小学生なみに気持ちをソワソワさせる興奮刺激であります。

この度も私は3日前から(!)、持ち物の整理に心を傾けていたのだが、先ほど無事に荷造りが終了しました。

出先で起こりうるハプニングに対して想像の限りを尽くして作成した、濃密に凝縮した私の生活必需品のエッセンスがこのバッグひとつにぎゅぎゅっと詰め込んであります。これでようやく眠りにつくことができますが、まずいことに現段階ですでに大仕事をやり遂げたあとの至福を得ています。

こうして旅の素人は荷造りだけで安上がりに満たされるのです。

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1日分の私生活の濃縮還元グッズ