午前中、微かな陽射しに意を決した両親が揃って庭仕事に精を出す。多年草の草花や庭木がそれぞれ安全に冬を越すための雪囲いを不器用な共同作業でしつらえていく。1時間ごとに暖を取るため家に戻って甘酒やホットミルクを飲んでいく。
お昼前に作業を終え、全身満たされた様子で食卓を囲むひととき。せっかくクリームシチューを温めたのに、父は非常用にストックしてあるカップ麺が食べたいという。ヘルシーなおうちごはんに飽いた父はしばしば子どものようにジャンクに走る。少しでも元気に長持ちさせようという娘の心、親知らず。
ま、いいけど。
冬支度が済むが早いか午後から気合の入った本気の降雪が世界を変える。
父母が着せた小さな生きものたちの粗末な身なりがみるみる雪化粧に洗練されていく。
一足早いクリスマスカラーの出来栄えに、しばし心遊ばす移ろいの愉しみ。