実家暮らしの手帖

食う寝る遊ぶに住むところの機微を綴るブログ

甘さで攻めるぐりの兵法これ如何に。

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手作り甘酒ときのとや「森の忘れもの」

朝から小刻みに変わる情緒不安定な空模様に振り回されて、大荷物が予想される買い物に出かけるか否かぐずぐず迷っているうちに、迷い無き時計の針はぐるぐると回り続けあっという間に正午過ぎ。もはや機を逸したなと私が諦めるのを見計らうように重苦しい曇天が一斉に晴れて、まっすぐな天上の陽射しがリビングの窓辺に眩いばかりに差し込んでくるものだから、朝からぐずぐず一辺倒のぐりはもうぐうの音も出ない。

こうして気持ちの焦点が揺れてなかなか目標が定まらず、敏捷に身をこなせない日というのがままあって、こんなのが季節の変わり目に罹りやすい風邪の前触れだったりする。

私は時々面白いほど間の悪い女で、いつも絶妙にまずいタイミングで風邪をひいたり、一定の周期をあざ笑うかのように不意打ちで月のものが来たりする。旅行当日となれば日の丸の大手を振って出血大サービスで月の使者がやってくるなんてのはもはや日常茶飯事、コーラスの発表会直前にピンポイントで喉が潰れるなんて喜劇も予定調和的に起こりうる基本原理かのごとくである。

今回も、所属している女性コーラスの発表会が週明けに控えていて、明日はそのリハーサルである。いたずらな神さまにとってまさにうってつけの「喉風邪襲来の好機」である。

迎え撃つこちらとしても、巷間に溢れる風邪対策に関する情報を色々とチェックしながら真剣に専守防衛の戦略を練ろうとするも、一方で「ケ・セラ・セラ」を鼻歌で歌う自分もいて、いまいち戦意に欠けたユルさが付きまとう。

来るもの拒まず去る者追わず、なんて風邪相手に言ってる場合じゃないのに、こんな時に限って私の腹はえらく肝が座っている。

とどのつまり「栄養と休息」をしっかり補充してあとは天命を待つのみだ。

そうと決まれば話は早い。

お出かけの予定も狂っちゃったし、今日はこのままイレギュラーな時間を過ごして思い切り自分を甘やかそう。たまには糖分まみれをたっぷり補給してうたた寝に身を任せよう。

午後3時の虫養い。甘い麹の香りの効いた甘酒をふうふうと啜りながら、きのとやの焼き菓子「森の忘れもの」を食べる。卵とバターでしっとりと焼き上げた生地の中に、こしあんブレンドしたまろやかなミルク餡がたっぷりと詰まっていて口当たりがとても滑らか。所々に散りばめられたクルミが良い食感のアクセントになって、冬眠前の小動物さながら欲張りにぱくぱくと一口に頬張る。喉の奥がじんわりと甘い熱を持つ。

このまま夜ごはんまでぐんにゃりと溶けるように一眠りして、甘い熱が冷める頃には多分きっと、いたずらな神様も肩透かしを食ったようにどこかへ去っているに違いない。

さあ、果報は寝て待つぐりの兵法や如何に。