実家暮らしの手帖

食う寝る遊ぶに住むところの機微を綴るブログ

汚れちまいたい純情に

f:id:guri73:20191017172227j:plain


こんにちは、ぐりです。

昨日まで実家の上空に広く居着いていた執拗な雨雲が去り、朝からすっきりとした青空が紅葉の進む晩秋の木々に清澄な明るさを添えています。

 

小学生の頃、雨の日や寒い時期には、子どもたちは昼休みや放課後にみんなで体育館に集まってよくドッジボールをして遊んだものだが、令和時代の子供たちは今もドッジボールなんて遊びをしたりするのだろうか。

 今でこそスポーツとはほとんど縁のない暮らしをしている私だが、子どもの頃は球技が好きだった。町内会のソフトボール大会で上級生の男の子たちに混ざってスタメンでバットを振ったり、ミニバスケットボールチームに2年ほど所属したり、お遊びとはいえクラスでチームを2分するドッジボールではほとんど負けた記憶がない。

 相手チームの主力選手にボールが渡ると、大抵の子どもたちはきゃあきゃあと天井高く喉を震わせながら一塊の魚のように一斉に同じ方向に移動する。

当然、獲物はそこかと狙いをつけた敵方はすぐさま団塊めがけて速球を放ち、不幸にもそれがお尻に命中した子どもは悔しそうに群れを離れて今度は相手方の群衆の新たな脅威となるべく尻をさすりながら急いで外野に回るのである。

幸か不幸か当時の私は一塊の魚ではなかった。敵に背中を見せると尻が危険だと他の子どもより早く悟ったからである。狭い味方の陣地の中で私は一人群れを離れ、いつもみんなと真逆の方向に全力で駆けていた。

こうしてひとつのゲームに没頭して絶えず右往左往する純情なターゲットに向けて無情に球を放り込む敵方の視界に私は最後まで映らずに済み、丸いお尻は小学校を卒業するまで丸いまま事なきを得た。

 ところが今回ブログを始めた動機に関して、私はおそらく一塊の魚である。

少なからずの仲間がきっとそうであるように、私はブログを通して少しでもお金を稼げたらいいなと思った。自分の好きなことを自由に綴りながら上手くネットビジネスを活用して、できれば少ない労力で稼いだお金で欲しいものを遠慮なく食べたり買ったり、家族や友人との時間をもっと豊かに楽しむための資金にできたらどれほど幸せかと。

そんなありがちでささやかで、ずいぶん都合のいい小市民的な夢を見た。そんなチャンスがあるならやるに越したことはないと。

一切邪気のない、完璧に純粋な動機がここにある。あえて声高らかに公言するような高潔で美しい志とはいえないかもしれないが、自らの欲望を素直に認め、目的に向かって真っ直ぐに努力しようとする純情のあることは確かだ。

けれど困った事に、私は早くもこの純な欲望を捨てていっそ不純に汚れちまいたい衝動に駆られているのである。こんなにもあっさりと初志を曲げるほどに意志薄弱なのは、かつての私が純情から適度に離れるとあまり痛い思いをせずに済むことをドッジボールの成功体験で強く刷り込まれたからに違いない。

とにかく私は今後ブログでお金持ちになりたい純情を一旦封印し「自由にものを書くことだけ専念して」不純に筆を進めるつもりなのである。というか既にそれしかやってないことを自分でもちゃんと気づいているのである。気づいているのに軌道修正できない遂行力の足りない自分にほとほと呆れているのである。

まあとにかくそんなわけで、私は本日をもちまして不純な娘…熟女…いや、不純なぐりになりましたとさ。

おしまい。 

 

汚れちまいたい純情は

なにのぞむなくねがふなく

汚れちまいたい純情は

悦びのうちに詩を夢む